グランドオープンから間も無いこのタイミングで『未来』というタイトルを冠すること自体、時期尚早であったかもしれない。だが、目の前に広がるキャンバスが真っ白な今だからこそ、これまでの歩みを再確認しつつ、その行く末を想像してみる価値があると考えた。

 
（サウナ内、水風呂より。海と向き合うようで、自分の心（未来）と向き合う時間になるのかもしれない。）

振り返れば、『Set your Everyday』をコンセプトに幕を開けた物語だ。

『光の道』や『かがみの海』など、いずれも太陽に精通する観光資源を持つこの地域だからこそ、同コンセプトが考案されたというプロセスは、きっとこの先も一貫して、SUN EFFECTが航路を選択するための基準となり続けるだろう。決して手段が先走ることはなく、あくまで、この建物と地域にとって最適解な関係性を紡ぎ続けるさまこそ、今のSUN EFFECTであり、これからのランドマークたる姿ではないだろうか。

さて、過去4回にわたりお送りしてきた本コラムもこの記事が最終章となる。ここまで、各コンテンツが誕生した背景や関わる人々の想いに触れていただくことで、彼らが目指す方向性を1人でも多くの人にシェアできたのであれば喜ばしい。沢山の縁に恵まれこの建物が再生された経緯が証明するように、人に愛着を持たれることが、建物の存続にとって最も大切な要素だからだ。

では、その『人』とは誰を指すか。それは、一概に価値観を共有できるお客様に限らないと考えている。もしかすると、このプロジェクトに力を添えてくれる新たな仲間であるかもしれない。

例えば『シーズンオフのBBQスペースをどう活用するか』という議題一つとっても、どこからか登場人物がうまれそうな予感がする。すでに、マルシェ開催の計画があったり（なかったり）とも聞いていて、実現すればSUN EFFECTが多くの繋がりを創出するだろう。さらに・・・この建物には一部未使用のままのスペースが存在する。使用用途は未定であり、そこに新たなコンテンツがドロップされるのかさえ判明していないものの、仮に活用する場合において、どんな人がどんな風に関わることになるか。などなど、妄想を掻き立てるに十分なポテンシャルが残されているのだ。

つまるところ、誰かが福間海岸に何かを想像し行動しようとするとき、SUN EFFECTと手を取り合えるかもしれないということだ。そして、その過程で大切なのは事の大小よりも、同じ航路を進むことができるかどうか。まさに『Set your Everyday』への共感が鍵になるはずだ。

（BBQスペース。イベントでの活用も想定した面積となっている。）

海岸一帯を見渡せば、数多くの店舗がひしめき、その分だけ様々なコミュニティが存在している。個性ある場所の個性ある人たちが集まることで作り出されるローカリズムには、都市部とはまた違う魅力的な空気が流れていて、SUN EFFECT自身も舵取り次第ではそのピースの一つになることができる。さらに、福津という町全体まで歩みを広げることで、より大きな輪が描けそうなことも楽しみの一つではないだろうか。

近隣住民の皆さんにはビーチへ散歩に行く時のような気楽さで来店してほしいと思う一方、遠方に住む方々にとっては週末にドライブへ出かける時のような『普段より”半歩”先にある日常』を楽しんでもらいたいと、オープンに向けたプレスリリースの一節にて、そう綴った。ここで過ごす時間を”特別”と構えるのではなく、SUN EFFECTや福間海岸のコミュニティに気軽に足を踏み入れることで、親近感を見出してほしいと思っているからだ。

（レセプションパーティーの様子。カジュアルで開放的なロケーションがリラックスした時間を生む。）

とかく、新たな航海は始まったばかり。福間海岸と純白のランドマークに明るい未来が待つことを願っている。

SUN EFFECTが地域のランドマークであることを望む限り、この空間はSUN EFFECTだけのものではない。福間海岸を愛するすべての人々とともに航海を続ける、アイデンティティの象徴であると思うのだ。